キャバ嬢を口説く

こんな自分で居られるのはアベさんだけですよ

前回までのあらすじはこちら

 

そしてまた次の日。

 

会社のデスクに座っていると、先輩がよってきた。

 

「アベ、今晩、暇?」

 

「はぁ。まあ。今日はサウナ泊まる気ですけど・・・」

 

「今晩も飲みに行くんだけど、一緒にどう?」

 

「いえ、遠慮しときます」

 

先輩の誘いではあるが、一昨日行ったばかりだし、早く仕事がわるワケでもなしなので、断りをいれたつもりだったが、先輩の次の言葉にぶるった。

 

「ヒカルちゃんが、アベさん気にいったから来て欲しい・・・って、言ってる。らしいぞ」

 

「え?」

 

「まあ、そーいうことは誰にでも言うもんだけどな。まあ、一応誘ったから、そう言っとくよ」

 

「あーっと、やっぱり行こうかなー」

 

「え?ほんと?おー。じゃあ、マキにも顔が立つ感じなんで有り難やー」

 

先輩は、マキさんていうキャバ嬢にずっと夢中らしく、よく手洗い場で電話してるのを知っていた。と言うよりも先輩はマキさんに惚れてるんだろうなーとは薄々思っていた。まあ、どうであれ、、、アレ?ほんとに明日になったよ・・・。

 

店ではホンモノ。ヒカルの人気は実はすごかった

 

「アベさん。また来てくださったんですね。わ〜。嬉しい。」

 

やっぱり、パチンコ屋で見たのは別人だったのではないか?と思うくらいに、ヒカルの夜の姿は華々しさがあった。この前は、席を立つヒカルのことをそんなに気にもしてなかったが、ヒカルが席を外す回数は多い。指名で入ったのだけれども、ヘルプと過ごした時間のほうがずっと長い。

 

「ヒカルさんって、もしかして人気者?」

 

「はい。そんな感じですー」

 

「いや、、そこは、、そんなことないですだろ・・。」

 

「うーん。ウソついても悪いしー」

 

「ヒカルさんって、オヤジにモテまくりなんやねー」

 

「そこ、オヤジにってとこ余計ですー(笑)若いのも私に首ったけですからー」

 

「いや、そーいう悪い意味で言ってないんだけどさー」

 

「てか、今日、アベさん、よくしゃべりかけてきますねー。あー。もしかして、やっと私に興味湧いた感じとかー?」

 

「・・・。僕、いちお、来て欲しいって言われた側だという認識なんですけど・・。」

 

「うん。それはほんとですぅー。お仕事ですから。」

 

「あーぁ。なんで、そんな感じかなー。こっちお客さんなのにさー。色も何もありゃしない」

 

 

また、席を立つヒカルがその時、少し寂しそうな感じで背中を向けたまま言った。

 

「でも、私、アベさんにだけですよ。こんな自分で居られるの・・・。久しぶりな感じだな。」

 

 

僕は、この時、ヒカルの何かを感じた。こんなに人気者でありながらも、ヒカルは孤独を人一倍に感じてるような・・・。

 

お金の仕事をして、見えないストレスを無理やり押し殺し、家に帰る暇もなくサウナで毎朝目覚める孤独感。それに似たオーラを一瞬見た気がした。